飫肥石(おびいし)
◆ 採掘地・丁場
宮崎県日南市
◆ 主な特徴
日南市で採掘される灰白系の凝灰岩。柔らかい独特の石肌が特徴。古くより飫肥城の石垣をはじめ多くの建築物に使用されてきました。現在も貼石、積み石、灯籠、記念碑、墓石材などとして利用されています。
◆ 飫肥石の有名な使用例
飫肥藩主伊藤家墓所
飫肥石の岩質データ
分類:凝灰岩
吸水率:―
硬度:―
宮崎県日南市に位置する飫肥のまちは、1588年よりおよそ280年間、飫肥藩主伊藤氏の五万一千石の城下町として栄えた地域であり、飫肥城の石垣をはじめ、藩校や蔵、武家屋敷など、今でも当時の面影を伝える建造物が数多く残っている。九州の小京都とも称される情緒豊かな街並みは、昭和52年に九州では初となる国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定、気候は年間を通じて温暖で、緑豊かな自然にも恵まれており、有数な観光地としても知られている。
灰白色系の凝灰岩である飫肥石は、そのような歴史と自然に恵まれた飫肥の地で育まれた素材で、古くより飫肥城の石垣をはじめとする地元建造物や土木工事の間知石として愛用されてきている。現在も貼石や積み石などといった修景材としての位置付けはもちろん、灯籠、記念碑、墓石材などとしても利用されており、柔らかい独特の石肌を特徴としている。
また飫肥藩主伊藤家墓所にも使用されていることで知られており、趣を感じさせる落ち着きのある色合い、そして年月が経つほど表面が硬化してくる性質により、彫りこまれた文字が永続的に判断できることなどを要因に、地元の人たちを中心に根強い人気に支えられている。