羽黒青糠目石(はぐろあおぬかめいし)
◆ 採掘地・丁場
茨城県桜川市上城地区
◆ 主な特徴
やや青味がかった深みのある石色で、きめ細かく高級品として位置づけられています。希少価値の高い石材であり、高級墓石、彫刻品等に使用されています。
◆ 羽黒青糠目石の有名な使用例
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羽黒青糠目石の岩質データ
分類:花崗岩
見掛け比重:2.706(t/m3)
吸水率:0.23(%)
圧縮強度:126.21(N/mm2)
JR水戸線の岩瀬駅から車で10分ほどの所に、羽黒青糠目石が採掘される加波山系・橋本山がある。明治中期に鉄橋の石組み材として採掘されたのをきっかけに始められ、現在は㈲川俣石材工業、㈲谷中石材の二社が採石を進めている。
羽黒青糠目石はその青みがかった深みの濃い色合いと、きめ細かい石目、そして気品溢れる落ち着いた風格こそが最大の特徴である。一部では彫刻材や建築材としても利用されているが、ほとんどが墓石材として使用されており、現在も地元・茨城県をはじめ関東、中部、関西地区などからの根強い人気に支えられている。
羽黒青糠目特有の難点として、実際に切削してみないと良否がわからないこと、また、同じ石でさえも石目が微妙に異なってくるということが挙げられる。工場に運ばれたものも全て利用できるとは限らない。工場での切削工程になってはじめて姿を表す黒玉や帯なども多くあり、必然的に良い部分だけを厳選し、切り分けていかざるを得なくなる。
こういった細かい手間を重ねて行き、最終的に製品に使用できるのは全体のおよそ1割以下。さらに石塔ならば、そこから全パーツの石目を統一させる作業へと入っていく。同じ石でさえ微妙に違ってくる石目である。辛抱強い熱意と真摯な努力なくしては成せるものなのではない。
品格溢れる色合いと周囲を包み込むような落ち着いた風格により、強い存在感を感じさせる羽黒青糠目石。製品製作の舞台裏には石職人の熱い心意気が込められている。