銘店“石屋”シリーズ 株式会社 平田石材工業(長崎県雲仙市)
お客様が手を合わせてくれるものをつくっているのが一番の誇りです。
2022年に創業100周年を迎えた長崎県雲仙市の株式会社平田石材工業。県内でも随一の規模を誇る墓石展示場、CG(コンピュータグラフィックス)やドローンを使ったリアルな墓所完成予想図の作成など、様々なこだわりを通して、お客さんに喜ばれるお墓づくりを心がけている。同社三代目の平田政文さんにお話をうかがいました。
平田政文さん(昭和40年生まれ)
株式会社 平田石材工業の三代目。新しいことをいち早く取り入れていく積極的な性格で、プライベートではバイクツーリングを通して自然とふれ合うことが趣味という。
―まずは会社の歴史を教えてください。
平田 創業は大正10年(1921年)。祖父の平田藤雄が農業のかたわらで石との関わりを深め、畑の石垣などといった石工事に携わるようになったのが創業のきっかけだと聞いています。
―平田さん自身は、いつ頃から石屋さんの仕事を始めたのですか?
平田 私は一人息子で、「いずれ家業を継ぐんだ」と当たり前のように思って育ちましたから、高校を卒業してすぐに父の仕事を手伝うようになりました。そして19歳のときから1年半ほど、福岡県にある老舗石材店で修業。「福岡に住んでみたかった」という理由もあるのですが(笑)、飛び込みでその石材店さんへ行き、運よく働かせていただけることになったんです。
―修業時代の思い出は?
平田 今から思えば、あれが自分にとっての大きな分岐点となりました。なにしろ大都市にある最先端の石屋さんでしたから、加工機械など工場の設備も充実していましたし、他社では出来ないような難所の現場工事をこなしたり、あとは経営的な取り組みとか、とにかくいろいろな面で刺激を受けました。
ですから修業後、こちらに戻ってきてすぐに、うちでもいろいろな機械を導入するようになったり、会社が良くなると思う取り組みは、積極的に進めていくようにしました。あの修業時代の経験は、そのほかにも石材店を営む様々な面で活かされていると思います。
―突然ですが、趣味はなんでしょうか?
平田 昔はフォークギターを弾いたりもしていましたが、今はなんといってもバイクですね。40歳くらいで大型免許をとって、今はハーレーに乗っています。妻もバイクに乗るものですから、2人でツーリングに行ったり、あとはハーレーに乗る仲間と行ったりもしています。
普段は仕事に集中して、休みの日にはバイクツーリングで自然とふれ合う。それによって気分もリフレッシュできますし、仕事に繋がる新しいアイデアが浮かんでくるようなことも少なくありません。
―では話を戻しまして、石屋さんとしてこだわっていることは?
平田 一つは展示場を充実させること。うちの展示場は、たくさんの墓石を現物で見比べられるようになっていますので、お客様にしっかりとご納得いただいてから、話を進められるようになっています。
そしてもう一つは、お客様への提案図面に力を入れていることです。CAD図面はお墓の文字なども含め、私自身が手がけています。さらに墓地の写真を撮って、そこにお墓のCG(コンピュータグラフィックス)を合成する完成予想図も作成。人物の画像なども合成しますので、サイズ感などもわかりやすいものになっていると思います。
さらに最近はドローンも導入し、墓地を上空の斜め上から撮影してお墓の図面を合成したり、真上から墓地全体を撮影して工事の搬入経路を確認したり、様々な使い方をしています。
ちなみにドローンは、ハーレーのツーリング仲間に詳しい人がいて、その方におすすめのメーカーなどを教えてもらいました。趣味もどこかで仕事と繋がってくるんですよね(笑)。
―この仕事のやりがいを教えてください。
平田 自分が建てたお墓に、お客様が手を合わせてくれて、中には涙まで流してくれる方もいらっしゃる。やはり、そういうのが一番のやりがいだと思います。子どもの頃から、父親に「こんなよか仕事はなかぞ」と聞かされていましたが、本当にそのとおりでした。
―最後に今後の目標を教えてください。
平田 これまでと変わらず、とにかくお客様の話に耳を傾けて、しっかりとした仕事を続けていくことです。それに昔に建てたお墓も多いですから、自社工場の加工設備を活かしながらリフォームなどの仕事にもきちんと対応していくこと。最終的に、お客様から「平田石材工業にお墓づくりをお願いして本当に良かった」と心から満足していただけるような目指すべき石屋像を追求していきたいと思っています。
株式会社 平田石材工業
所在地:長崎県雲仙市国見町神代戊2595-1
TEL:0957-78-3569/FAX:0957-78-3632
https://www.hiratasekizai.co.jp/
いしマガ取材メモ
今回もっとも驚かされたのは、大きくてきれいな展示場に置かれているお墓の数とCGやドローンを駆使してつくったという完成予想図。とくに完成予想図は、本物と変わらないリアルさが感動モノでした。
それに平田さんは、とても聞き上手な方。お墓に関する悩みや相談ごとに対しても、お客さんの想いを汲み取ったうえで、最適な提案をしてくれるに違いありません。