山田真喜子の「イタリア石風景」Vol.8~「国際石材機械産業見本市」開催(後編)
世界的に広がるSDGsの取り組み(続き)
イタリアでは現在、現存する建築の修復を支援する補助金が用意されており、建築の再生事業が活気のある業種の一つにもなっている。
また、白大理石で有名なカッラーラの大手石材会社や組合などが中心となって、地元の学校教育に対して「石材を無駄にしない有効活用の取り組み」を働きかけており、今回のマルモマックでは、そのような努力の成果がうかがえる展示内容となっていた。
この取り組みの一環として、ローマ大学による石材の再利用に協力した齋田隆朗さんは京都府亀岡市の齋田石材店を受け継ぐ5代目で、様々な職人やアーティスト、デザイナーなどと協力し、伝統工芸の発展に取り組んでいる。海外でも活動を展開しており、今回のマルモマックでは日本とイタリア双方の再利用石材を活かして制作した作品を展示し、会場内でも高い注目を集めていた。
世界の石材動向を共有
マルモマックでは毎年、世界的な石材産業の貿易を調査しているカルロ・モンターニ氏による「世界石材レポート」が発表される。これによると2021年における世界的な石材市場の動向としては、コロナ禍で遅れはあったものの生産量・貿易収支は2019年とほぼ同数値だったという。
ただし、今年はロシアのウクライナ侵攻などによって世界的な経済停滞が進んでおり、エネルギー・ガス・原油不足の問題も顕著になっている。このことはイタリアのみならず世界的に大きな課題となっており、今後の動向も引き続き注視されることだろう。
(レポート=山田真喜子)