石コラムVol.13 カロート

カロート(納骨棺)は大切な遺骨を安置する場所であると同時に、石碑の重みを支える役割も担っています。外観上は見えない部分になりますが、お墓の中で最も重要な部分がカロートだといってもいいでしょう。

以前のカロートはコンクリート製のものがほとんどでしたが、最近は御影石で造られるものも多くなっています。御影石製はコンクリート製に比べて、内部の湿気による黒ずみなどの汚れを抑え、耐久性にも優れています。

最近はお墓が小型化していることもあり、地上式カロート(丘カロート)の墓所が増えていますが、その場合のカロートはほとんどが御影石製となります。地上式カロートの場合は独立したものではなく、外柵や台石部分を兼ねた構造になっているためでもあります。

凝ったカロートになると、インド産の独特の色味や模様のある石材を使用したり、内部壁面に蓮花や花鳥、釈迦像などを彫刻したものもあり、安置される骨壷にも九谷焼や有田焼などが用いられることもあります。

また、日本産の石材を使い、日本の石職人が手掛けたカロートに遺骨を安置していただくという価値を含めた提案なども見られています。石碑のデザインは多様化していますが、見えないカロートにもスタイルの多様化がうかがわれます。

石材卸商社である㈱イシフク(静岡市)のチラシより

 

カロートに安置される骨壷の大きさは地域によって異なり、関東では直径7寸(約21㎝)のもの、関西では直径5寸(約15㎝)のものが一般的だといわれています。関西の人が関東の骨壷を見ると、その大きさに驚くようなことも少なくありません。

骨壷のまま安置せずに遺骨だけを納骨袋などに入れて納める地域もあります。また、最近では遺骨をサラサラのパウダー状にするサービスを行なっている会社もあります。パウダー状になった遺骨は、通常の約3割程度まで減容されるとのこと。これは散骨を想定して開発されたものでもありますが、こうした火葬法が浸透していくと、骨壷やカロートなども変化していくことが考えられます。